ムーンフェイズ (月の満ち欠け)
月の今日を投影する
Beginner

コオロギが鳴く澄んだ夜空に満月が昇ると、いよいよ秋の季節だと感じます。濃紺の夜空を照らす月は、それ自体で雰囲気を作り出す存在です。小さなダイアルに浮かぶ月も、雰囲気を華やかに変えてくれるムードメーカーです。ダイアルの月は「ムーンフェイズ」と呼ばれる機能で、月の位相を視覚的に表現します。ムーンフェイズのディテールを表現する際、月に顔を描いて擬人化することがありますが、これを「ムーンフェイス(Face)」と呼ぶこともあります。しかしこれは誤った表現であり、時計機能の月は「ムーンフェイズ(Moon Phase)」です。

歴史

時間や日付は、古代の先祖たちが天体現象を研究した成果です。一日一日を数える日付も、太陽が昇って沈み、月が昇って沈む天体の動きを記録した資料をもとに完成した産物です。

ⓒ NASA

ⓒ NASA

月が刻々と変化する姿、つまり位相を表示するムーンフェイズも天体現象をもとに機能が作られました。ムーンフェイズの起源は、日付を確認したり航海術に利用するためだったとされています。航海中に天候が悪く月の位置や位相を確認できないとき、ムーンフェイズを使って把握することができました。月の位相を見て潮の満ち引きを知る必要がある場合、ムーンフェイズは非常に役立ちます。ムーンフェイズ機能の歴史は正確には分かっていませんが、さまざまな資料や意見を総合すると、16世紀ヨーロッパの置時計で発見されたことがあるそうです。

パテック フィリップが1925年に発表したとされる最初のムーンフェイズ腕時計
ⓒ oracleoftime.com

パテック フィリップが1925年に発表したとされる最初のムーンフェイズ腕時計 ⓒ oracleoftime.com

その後、18世紀のブレゲ懐中時計にもムーンフェイズ機能が見られ、腕時計では明確ではありませんが1930年代から40年代頃に製作された時計でダイアルに浮かぶ月を見ることができました。

ムーンフェイズの表示

実際の月の周期は29日12時間44分28秒ほどかかります。おおよそ29.5日の周期を持つと考えられます。そのためムーンフェイズは29.5日周期をもとに作られます。対称となる2つの月を59個(29.5日×2)の歯を持つ歯車に載せて表示します。1つの月ではなく2つの月でペアにする理由は、29.5個の歯を作ることができないためです。0.5個の歯を実現できないので、2つ合わせて59個にするのです。

ⓒ vintageradar.com

ⓒ vintageradar.com

実際の月の周期である29日12時間44分28秒と、計算しやすいように29.5日とした2つの値は、時間が経つにつれて差が生じます。私たちが使う1年365日と地球の公転周期の間で少しずつ差が蓄積され、4年に一度うるう年を設けてこの誤差を減らすように、ムーンフェイズも数分の差が蓄積されると目に見える誤差が生じます。そのため時計メーカーはこの誤差を減らす努力を重ね、ムーンフェイズ機能に補正装置を加えて誤差を減らしてきました。122年で1日の誤差という、時計を一生着けてもほとんど感じられないレベルまで誤差を減らしたメーカーは、ここで満足せず、4500万年で1日という人間の人生ではほぼ体感できない実質的な「ゼロ」誤差まで到達し、正確なムーンフェイズを実現しています。

Blancpain Villeret Date Moonphase © ablogtowatch.com

Blancpain Villeret Date Moonphase © ablogtowatch.com

しかし現代に入り、ムーンフェイズの実用性は極めて低くなりました。時間を日常のどこでも簡単に確認できるようになったように、月の位相もインターネットで検索すれば簡単に調べられます。航海術でも、昔のように天体の位置や形に頼ることはなくなりました。だからといってムーンフェイズの役割が減ったわけではありません。ダイアルのムードメーカーとしてしっかりと役割を果たしているからです。また、レディースウォッチのように美しさを目的として、かえってムーンフェイズが登場することが増えています。

多様なムーンフェイズウォッチ

IWC ポルトギーゼ エターナルカレンダー

グレゴリオ暦の不規則性は、それに従うパーペチュアルカレンダーの不完全性を引き起こします。IWCはダイアルの4時と5時の間に露出したメカニズムで不完全性を克服し、永遠を追求したポルトギーゼ エターナルカレンダーを完成させました。

IWC Portugieser Eternal Calendar </br>
 © italianwatchspotter.com

IWC Portugieser Eternal Calendar
 © italianwatchspotter.com

ガラス素材を使い透明感を持たせたダイアルの下には、パーペチュアルカレンダーに劣らない精度を追求したムーンフェイズメカニズムがギヨシェで装飾されたダブルムーンフェイズを駆動します。これにより南半球と北半球で見える月の形を同時に見せるとともに、4500万年で1日という精度でムーンフェイズ機能でも永遠性を追求しました。

オメガ スピードマスター ムーンフェイズ

Omega Speedmaster Moonphase in Sedna gold </br>with Alligator Strap © ablogtowatch.com

Omega Speedmaster Moonphase in Sedna gold
with Alligator Strap © ablogtowatch.com

「ムーンウォッチ(Moonwatch)」と呼ばれるスピードマスターは、アポロ11号の宇宙飛行士が腕時計を着用して月面に降り立った「ムーンランディング(Moon landing)」に由来します。しかしムーンフェイズ機能とは特に関係がありません。スピードマスターの派生型であるスピードマスター ムーンフェイズは、時計名の通りクロノグラフカウンターの間にムーンフェイズを配置しました。輝く夜空を背景に月面をリアルに描写したムーンフェイズディスクが特徴です。ディスクが回転し、雲の形をした窓を使って実際の月の形を表示します。この方式が最も一般的なムーンフェイズです。

ランゲ&ゾーネ ランゲ1 ムーンフェイズ

ヴィンテージは生産終了から少なくとも30年以上、例として挙げたサブマリーナーを基準にするとRef.16610LNの直前に短期間生産されたRef.168000や、それ以前のRef.16800のようなモデルをヴィンテージの始点と考えられるでしょう。

Lange & Söhne – Richard Lang Terraluna L096.1 </br>
© monochrome-watches

Lange & Söhne – Richard Lang Terraluna L096.1
© monochrome-watches

リヒャルト・ランゲ パーペチュアルカレンダー テラルナ(Terraluna)のような時計で天体機能にも定評のあるランゲ&ゾーネは、ムーンフェイズでも多様性と技術的完成度を示しています。ランゲ1 ムーンフェイズは一般的なムーンフェイズのように見えます。雲の形の窓から見える月と星の姿は大きな違いがないように見えます。

 A. Lange Sohne Lange 1 Moon Phase </br>
© monochrome-watches

 A. Lange Sohne Lange 1 Moon Phase
© monochrome-watches

ピアジェ アルティプラノ Ref. G0A47105

ピアジェ アルティプラノ ムーンフェイズ © piaget

ピアジェ アルティプラノ ムーンフェイズ © piaget

ケース径36mmのアルティプラノは、華やかなムーンフェイズを時計全体で表現しています。デザイナーの意図は分かりませんが、ブルーアベンチュリンとギヨシェパターンで光を表現したマザーオブパールダイアルの構成は、夜を照らす月明かりのようです。その中には三日月型のダイヤモンドセッティングで飾られたムーンフェイズが収められています。アベンチュリンダイアルが動きながら月の形を作る方式で、素材の高級感を引き立てます。搭載されたセルフワインディングCal.580Pは三日月型ローターを使用し、どの角度から見ても月を見つけられるようディテールが設定されています。

Felix

ライター

時計コラムニスト

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