闇を照らす ブルーライト
ロレックスの夜光塗料変天使
Beginner

青色のクロマライト(Chromalight)
何が違うのでしょうか?

子供の頃から天井の蛍光灯に貼っていた蓄光星の光は緑色をしています。また非常口を示す蓄光灯もほとんどが緑色です。それではなぜロレックスのダイバーズウォッチは青い蓄光塗料を使っているのでしょうか?

この鮮やかな青い光でスポーティさと高級感を同時に演出する蓄光塗料はロレックスの特許ともいえるクロマライト(Chromalight)です。クロマライトの長時間持続性はロレックスの機能性時計の伝統とアイデンティティを象徴し、挑戦する探検家たちの道を照らす非常に重要な役割を担っています。しかしクロマライトが誕生する以前にも蓄光塗料は使われていました。1953年から蓄光機能付き時計を発売してきたロレックスがどのような素材を使い進化してきたのか見ていきましょう。

最初の蓄光塗料
ラジウム(1953~1959)

ラジウム / ⓒ REEDSCO

ラジウム / ⓒ REEDSCO

ロレックスが1953年にサブマリーナなどで初めて使用した蓄光物質はラジウム(radium)素材を混ぜた合成塗料でした。放射能被曝の研究が不足していた当時、ラジウムは食品や化粧品、繊維産業などにも活発に使われていました。半減期が1,200〜1,600年であることを考えると人体にどれほど有害な物質かすぐに分かるでしょう。安全対策は取られましたが健康への懸念が高まりロレックスはラジウムを断念することになりました。

より安全な放射性素材
トリチウム(1959~1968)

ロレックスは1963年から90年代まで放射能レベルが低減された代替放射性素材であるトリチウム(Tritium)を塗料の合成素材として使用するようになります。

トリチウム表記法

トリチウム表記法

「トリチウム H-3」という放射性同位体を蓄光物質として塗装された時計はダイヤルの6時方向に「T」と表記されて生産されました。上の写真は時計から放出される放射能レベルを示すT表記の種類です。

パティナ時計 / ⓒ BOB’S WATCHES

パティナ時計 / ⓒ BOB’S WATCHES

トリチウムベースの蓄光ロレックス時計は年数が経つほどダイヤルマーカーやインデックス、針が汚れたように黄色く変色します。トリチウム蓄光塗料は時間が経つにつれて色が変わるためです。さらに半減期が12.5年なので10年も経たずに変色現象が始まります。変色が激しい時計をパティナ(Patina)と呼びますが、これは一部の金属が酸化過程で色が変わる現象に由来したニックネームです。独特のヴィンテージカラーのおかげでパティナ時計は時計コレクターの間で根強い人気があります。

緑色のルミノバとスーパールミノバ
(1993~2008)

ルミノバ / ⓒ NEMOTO

ルミノバ / ⓒ NEMOTO

しかしトリチウムも放射性物質から自由ではなく、1998年からロレックスは日本の化学会社ネモト(Nemoto & Co.,Ltd.)が開発した放射性物質を一切含まないルミノバ(Luminova)を使用するようになります。ルミノバは蛍光(phosphorescent)物質のみで構成され、光を吸収・蓄積・発光し、事前に光にさらす蓄光過程さえあれば時計は暗闇で光を放つことができました。

ⓒ BOB’S WATCHES

ⓒ BOB’S WATCHES

当時の時計は私たちがよく知る緑色の蓄光光を放っています。ダイヤルの変色現象や経年劣化にも性能低下がない点も消費者に大きくアピールしました。

2000年にはスイスのRC Tritec AG社を通じて製造・流通されたルミノバ、スーパールミノバ(Super-LumiNova)塗料が使われるようになります。1998〜2000年製造のロレックス時計は6時ダイヤルにシンプルにSWISS表記が、2000〜2018年製造の時計にはSWISS MADEと表記されています。

完成した青い光
クロマライト(2008~)

クロマライト(Chromalight)は2008年に発売されたRef. 116660 ディープシーとともに登場しました。深く暗い海の探検に特化したディープシーにふさわしい象徴的な初登場でした。ロレックスが商標登録したこの特殊蛍光物質は暗闇でより識別しやすい青色を放ち、蓄光は8時間持続しました。一般的な蓄光物質より2倍長く持続する技術力でロレックスは再び業界のリーダーとなりました。

Ref. 116520 / ⓒ THE WATCH CLUB

Ref. 116520 / ⓒ THE WATCH CLUB

クロマライトの特徴をいくつかご紹介します。スーパールミノバよりも強い光を放ち、より長く持続します。クロマライトマーカーは光を受けると目立つ明るい白色になります。クロマライトはスーパールミノバと同じ蛍光体で、時計が鮮やかな青い光を放つことを望む場合、太陽光などの光源に長時間さらすほど効果が高まります。

Deep Sea 116660

Deep Sea 116660

44mm, ディーブルー, オイスター

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Explorer 2 226570

Explorer 2 226570

42mm, ホワイト, オイスター

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2015年からほとんどのオイスタケースモデルがクロマライトを使用するようになり、蓄光持続力が向上したクロマライトは2021年発売の新型エクスプローラー2(Ref. 226570)を皮切りに現在すべてのプロフェッショナルラインと多くのクラシックラインに適用されています。この素材を時計のマーカーやダイヤルに塗る作業は専門家が手作業で行っていることをご存知でしたか?塗料を均一かつ精密に塗るための特殊な道具も使われます。工程が非常に繊細なため機械で代替できないそうです。クロマライトの性能があまりにも優れているため、定期的に新技術を発表するロレックスが現在まで代替品を紹介していないのは非常に印象的です。

Young

ライター

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