バイバーで最近取引可能となった8つの新ブランドの中には、まさに「ウォッチメーカーのウォッチメーカー」と呼ばれるジャガー・ルクルト(Jaeger-LeCoultre)もございます。大衆的なハイエンドドレスウォッチの「マスター」とも言えるジャガー・ルクルトの代表的なラインナップ「リベルソ」をご紹介いたします。

リベルソ ハイブリス・メカニカ © Jaeger-Lecoultre
時計製造会社としてのジャガー・ルクルトは「ウォッチメーカーのウォッチメーカー」という名誉ある称号を持つほど、マニュファクチュール技術が認められているブランドです。

(左)創業者アントワーヌ・ルクルト 1866年に増築設立されたルクルトの最初のマニュファクチュール施設内部 © Timeforum
1833年、スイス・ジュラでアントワーヌ・ルクルトが設立した時計工房から始まり、現在に至るまで約430件の特許と1,300を超えるキャリバーを製作した歴史あるウォッチメーカーです。ジャガー・ルクルトは自社ムーブメントで時計ブランド「ビッグ3」に数えられるパテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、そしてヴァシュロン・コンスタンタンをクォーツショックから救った存在でもあります。

自社ムーブメント © Jaeger-Lecoultre
ジャガー・ルクルト自社ムーブメントとビッグ3の物語は長いですが、要点だけを申し上げると、ロイヤルオーク、ノーチラス、そしてオーヴァーシーズの基礎となった222にはすべてジャガー・ルクルトのムーブメントが使われていた歴史があります。このように多くの時計アイコンの誕生に貢献したジャガー・ルクルトにも、自社のアイコニックなタイムピースが存在します。時計に詳しくない方にも馴染みのあるドレスウォッチアイコンであるリベルソ(Reverso)です。

様々な形のリベルソ © Italian Watch Spotter
ジャガー・ルクルトのリベルソは、反転できる長方形ケースの中にアール・デコ(Art Deco)デザインを取り入れたアイコニックなデザインが特徴です。1930年の誕生以来、約100年が経過しましたが、今日でもトレンドに左右されず、はっきりとした個性で時計愛好家の心を動かし続けています。

© Italian Watch Spotter
リベルソのシグネチャーである長方形の形状と回転機能は、特別な目的を持って開発されました。

スポーツウォッチとして発売されたリベルソの初期広告 © Jaeger-Lecoultre
現在はラグジュアリードレスウォッチの代表格とされていますが、リベルソは実はスポーツウォッチでした。しかも製作が始まったのは1930年、ジャガー・ルクルトという会社が設立される前のことです。当時、エドモンド・ジャガーとビジネスパートナーだったダヴィッド・ルクルトは、シーザー・ド・トレという時計流通業者から非常に具体的な製作依頼を受けました。

ポロを楽しんでいた英国軍将校たち © Jaeger-Lecoultre
インドを巡回していたド・トレは、ポロを楽しんでいた英国軍将校たちと交流する中で「時計のガラスを保護できる時計を作ってほしい」という提案を受け、それを実現したのがジャガーとルクルトでした。ジャガーとルクルトはデザイナーを起用し、ラテン語で「回す」という意味のリベルソを生み出しました。

1930年代リベルソ © Jaeger-Lecoultre
リベルソは発売のタイミングが非常に良かったのです。1930年代は実用主義ファッショントレンドが新たな方向へ進化するきっかけとなりました。ポロシャツやニッカーボッカーズなど、快適な衣類が普及し始め、腕時計にも影響を与えました。先見の明があったド・トレは特許を取得し、「リベルソ」という名前まで商標登録してルクルトと共にリベルソをヒット作にしました。そして90年が経った今も、大きな変化なくアール・デコモチーフと回転式ケースを守るリベルソは、ジャガー・ルクルトの象徴へと成長しました。
リベルソの現行カタログでベストセラーはリベルソ・クラシックとリベルソ・トリビュートです。クラシックラインは正統で保守的なスタイルをアピールし、トリビュートはより若々しくスタイリッシュな感性を担っています。
まずリベルソ・クラシックの特徴です。アラビア数字インデックス、ソード(剣型)針、そしてギヨシェ技法を用いたダイヤルがリベルソ・クラシックに「クラシック」な雰囲気を醸し出すデザイン要素です。

リベルソ・クラシック © Jaeger-Lecoultre
両面にダイヤルを採用したデュオフェイスモデルでは異なる形式のインデックスや色合いも見られますが、大多数のモノフェイスモデルは控えめながらも品格のある「シルバーグレー」カラーを採用しています。

Reverso Classic Monoface Q2518140
40.1mm x 24.4mm、シルバーグレー


Reverso Classic Monoface Q2518540
40.1mm x 24.4mm、シルバーグレー

リベルソ・トリビュートは初期リベルソモデルを復刻したラインです。2011年に発売されたトリビュートは、アラビア数字の代わりにバトンインデックスとシャープなドーフィン(dauphine)針を採用したデザインが最大の特徴です。

リベルソ・トリビュート・スモールセコンド © Jaeger-Lecoultre
このデザインはアール・デコ様式をオマージュしたもので、1920年代の繁栄を最もよく表現したアール・デコ様式を体現したトリビュートは、クラシックでありながらも活気に満ちたエネルギーを放ちます。
トリビュートはその名の通りリベルソのヘリテージに敬意を表していますが、スタイルはクラシックよりも独特でスポーティに演出されているため、若い消費者にも大変人気があります。

Reverso Tribute Monoface Small Seconds Q397843J
45.6mm x 27.4mm、グリーン


Reverso Tribute Monoface Small Seconds Q713842J
45.6mm x 27.4mm、シルバーグレー/オパリン

最近、ラグジュアリー時計ブランドが相次いで価格改定を行い、時計購入を検討している方々を驚かせています。特にジャガー・ルクルトは今年11月の価格改定を含めると、2年間でなんと6回も価格上昇を実施したブランドです。このような選択の背後には、ジャガー・ルクルトを所有するリシュモングループが存在します。3年間でリベルソの価格を2倍に引き上げたリシュモンは、ジャガー・ルクルトのポジションを一段階引き上げるための戦略を展開していると推測されます。ラグジュアリーファッション業界に追随するウォッチメーカーのブランドポジショニングについて、愛好家の間でも意見が分かれています。
相次ぐ価格上昇が負担となっているのか、最近一部モデルの価格引き下げのニュースも発表されました。
しかし、自社マニュファクチュール技術を基盤にヘリテージと名声を築いてきたブランドは、実際にはごくわずかです。長方形時計の代表格であるカルティエ タンクと並び称されるジャガー・ルクルトのリベルソを、ぜひバイバーでご覧ください。
Young
Writer
私の夢は時計王。